2024/04/11
風邪をひいて他の風邪の症状は治まったのに咳だけが長引くという患者さんを多く見かけます。
なぜ咳だけ長引いてしまうのでしょうか。
そもそも咳は
風邪の症状は多岐にわたります。
鼻水、咳、下痢、嘔吐などこれらは免疫反応で風邪の原因になっている細菌やウイルスを体の外に出そうとするために正常な体の反応といえます。
感染性咳嗽(がいそう)疑いの所見
・感冒様症状が先行している
・咳嗽が自然軽快傾向である
・周囲に同様の症状の人がいる
・経過中に性状の変化する※膿性痰がみられる
※膿性痰は気道の炎症によって生産される
このような経過があれば病院では咳止めや細菌感染が疑われれば抗生物質を処方することと思います。
また胸部レントゲンを撮って異常がないか確認します。
通常の風邪と診断されればそれで経過観察となります。
それから数週間が過ぎても咳が残り痰はからまなくなったけど乾性咳がでる。。。。
となると以上の所見ではなくなるので風邪からというわけではなさそうです。
気になるかたはもう一度再受診して医師の判断を仰ぐといいと思います。
それでも原因不明の場合は何が考えられるでしょう?
1.感染後咳嗽
・風邪症状が治まってきたころからひどくなった
・他の呼吸器疾患などを除外してある
・徐々にではあるが自然に軽快してきている
以上の場合は感染後咳嗽の場合が考えられます。
感染後咳嗽とは「呼吸器感染症の後に続く、胸部X線写真で肺炎などの異常所見を示さず通常自然に軽快する遷延性あるいは慢性咳嗽」と定義されています。
肺炎とかの病気じゃないし、レントゲン上では異常が検出されないけど咳が続いている。というそのままの説明ですね。
可能性としては上気道や下気道、気管支の細胞が炎症を起こしていて痰をうまく排出できない状態が推測されますが、基本的には徐々に軽快しますよというものです。
2.胃食道逆流症
・胸焼け、呑酸
・胸痛
・咽喉頭違和感
・食後に変化する
これは呼吸器系の疾患ではなく胃の上部にある下部食道括約筋が緩み胃酸が食道まで流れ込み胃酸により食道の粘膜が荒れて過敏になり空気などの刺激に反応して咳きこんでしまうものなので食後すぐ横になったり、食後から就寝時間が短すぎ、太り過ぎでお腹から胃が上に圧迫される可能性があるため改善をはかります。
通常病院では制酸剤を処方して胃酸の量をコントロールしますので呼吸器系ではなく内科の範疇ですね。
3.喘息
・ゼーゼー、ヒューヒューや呼吸困難が日中はないが、夜間や明け方にゼーゼー、ヒューヒューすることが多い。
・風邪薬や咳止めを飲んでもあまり効かない。
・小児喘息の既往があると大人になって発症することもある。
気管支拡張薬が効果的なので呼吸器科の受診をしましょう。
4.アトピー咳嗽
・季節性
・夜間~明け方にひどくなる
・受動喫煙、温度変化で悪化
・アトピーの素因がある
・※末梢血好酸球増加
※好酸球は白血球の一種でアレルギー反応の制御を行います。
風邪のあとに2週間以上咳が続いたら考慮する必要があります。
喘息と大きく違うところは気管支拡張薬が効かないところです。
咳が長引いて喘息に移行することはありません。
好酸球は喀痰を採取すれば検査できます。
ちなみにアトピー素因とは
・アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎などの家族歴や既往歴がある。
・Ige抗体を産生しやすい体質。
簡単にいうとアレルギー体質かということですね。
病院では吸入ステロイドを処方し効果があることが多いそうです。
見た論文には社宅で発生したカンジダ菌(カビ)のアレルギーでアトピー咳嗽に罹患して抗生物質や吸入ステロイドでは効果がなく抗真菌と引越しで症状が軽快したということもありますのでまずは原因物質を特定する必要があります。
また免疫機能においては腸の環境も影響しますので腸内環境を整えることも必要になります。
抗生物質を不用意に服用すると腸内細菌が乱れやすくなるので注意が必要です。
当院では原因物質を割出し、必要な栄養素や避けた方が良いものなど栄養指導もさせていただきます。
おまけ
慢性的な咳の原因で稀に薬の副作用で起こる場合があります。
それは降圧剤です。
ACE阻害薬という薬の副作用で空咳が起こることもあります。
特徴は昼間は出にくいのですが夜間や早朝に咳が止まらないなど気になる場合はかかりつけ医にご相談ください。