脂質代謝異常と甘いものの関係

患者さんから人間ドックの数値についてご相談を受けることもあります。

その中で他の数値は問題ありませんでしたが中性脂肪の数値だけが高い方がおられました。

特に肥満でもなく一見中肉中背で問題なさそうでした。

中性脂肪は体のエネルギー源となり食物からエネルギーを摂取すると肝臓で合成されますが過剰になると動脈硬化の原因になると言われています。

この数値が高くても直ちに症状を呈すわけではないので急に血管が詰まったりすることにより急性発症するのでサイレントキラーと呼ばれています。

要は脂肪が悪さをするので例えば揚げ物などの高脂肪食が原因になると思われがちですがどうもそう単純ではないようです。

ちなみにその患者さんも実際は揚げ物などの高脂肪食をそれ程とっていなかったのです。

それについて面白い記事がありました。

名古屋大学大学院生命農学研究科の小田裕昭准教授の研究グループによると

これまで、メタボリックシンドロームは、

食べすぎ(エネルギーの摂り過ぎ)や運動不足が原因と考えられてきましたが、最近では砂糖(異性化糖を含む飲料などの加糖)の撮り過ぎが原因であることが明らかになってきました。

※平成30年米国科学誌『PLOSONE』電子版に掲載された内容です。

さらに、

砂糖の過剰摂取による脂肪肝や高中性脂質血症の分子メカニズムは未だよく分かっていません。

砂糖などの甘味は習慣性があるため、それを抑えるのは難しいことはよく知られています。

(中略)

本研究では砂糖摂取量を制限しなくても、摂取する時間帯を日中の活動時間帯に制限することによって、脂肪肝や高中性脂質血症が改善されることを見出した。

摂取する時間帯の調整により、砂糖の摂り過ぎによるメタボリックシンドロームの予防が期待されます。

ということは、いくら高脂肪食を抑えていても

清涼飲料水や菓子パンや洋菓子などを摂り過ぎると中性脂肪が過剰になる可能性があるということです。

2015年にはWHOは一日の砂糖の摂取を摂取エネルギーの5%未満にするよう指針を出しました。だいたい小さじ6杯分の砂糖(約24%)に相当します。

ただしこのメカニズムはまだ明確にはわかっていないそうです。

なので特に男性で体を使うお仕事をしていると汗をかくとスポーツドリンクや炭酸飲料を飲むケースも多くあるのでこの糖質(加糖、砂糖)過剰摂取→中性脂肪↑↑

であるならば可能性は非常に高いなと思いました。

まだ裏付けはできていないですが次にご来院された時に伺ってみたいと思います。

【砂糖の過剰摂取による脂質異常代謝異常を抑える方法】

小田准教授によると

砂糖の摂取する時間帯を日中の活動時間帯に制限すれば、摂取量を抑えなくても、脂肪肝、高中性脂質血症などの砂糖の過剰摂取によっておこる脂質代謝異常、メタボリックシンドロームは抑えられる可能性があります。

とのことです。

昼夜を問わず、四六時中食べていると、高コレステロール血症が起きることを報告しています。

逆に、メリハリのある摂取法として、「時間制限摂取」(主に日中に限って食事をする)をすることによって、高脂肪食による肥満なども改善することも、すでに報告されています。

今回の研究成果は、砂糖に

よるメタボリックシンドローム予防にも時間制限摂取が有効であることを示しています。

砂糖摂取の依存性は様々な研究で明らかになっておりますので一度に全て制限することは難しいと思います。ですのでこの研究が成果を収める可能性があるのであれば日中は好きな食事をして夕方から夜間の摂取を控えることにより脂肪肝や脂質異常を改善を期待できると思います。

人間ドックで中性脂肪が高い方は是非試していただければと思います。

それではまた