遺伝子で決められた未来は変えられないのか

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遺伝子と聞くとどのような印象をおもちでしょうか。

人間の設計図で最近では産前の遺伝子検査で変異がないかどうかや遺伝子検査で基礎疾患へのかかりやすさだけでなく性格や犯罪傾向なども検査できます。

さて、この設計図は避けようのない未来を決定づけるものになってしまうのでしょうか。

一般的には『良い遺伝子』か『悪い遺伝子』の二択というモデルですが最近はこの説が間違いではないかともいわれています。

これは心理学者が唱えた差次感受性仮説というもので、問題があるとされる遺伝子が状況さえ異なれば素晴らしい遺伝子になりうるというものです。

具体的には大多数の人のドーパミン受容体遺伝子DRD4を持ちますが一部の人は突然変異でDRD4-7Rで少し異なる遺伝子の方になっていることがあります。

この遺伝子はADHDやアルコール依存症、また暴力性などとも関連がある『悪い遺伝子』とされています。

そこで社会学者のアリエル・クナフォが子供を対象に行った実験で

子供にキャンディを持たせるとどの子が積極的に周りに分け与えるかを調査しました。

通常の3歳児は必要に迫られないとお菓子を周りのお友達にお菓子を分けるということはしないのですが、なんと7Rを持つこの方がすすんで他のお友達にキャンディを分け与えたのです。

なぜなら7Rの遺伝子は『悪い』遺伝子ではないからです。

今までの話と矛盾するようですが実は遺伝子は環境によって変わるからです。

というのも7Rを持つ子が虐待やネグレクトのように過酷な環境で育てられるとアルコール依存症やいじめっ子になりやすいのですが子供にとって良い環境で育つと正常な遺伝子を持つ子よりも人一倍優しくなるのです。

実はこの遺伝子だけでなく、ある種のCHRM2遺伝子を持つと非行に走りやすくなると言われていましたが環境さえ整えば一般的には超優秀な子になる。

5-HTTLPRという遺伝子変異を持つ子は支配的な親に育てれるとずるをしやすいですが優しい親に育てられると逆に規則を守る素直な子供に育つという研究結果もあるのです。

ということは遺伝子に組み込まれた設計図も絶対的なものではないということです。

患者さんの中には「親が〇〇な人だったから自分もいずれそうなるのではないか」と不安に感じていらっしゃる方もおられますが今まで育ってきた環境はおそらく違うものではないでしょうか。

あなたにはあなたの人生があります。

遺伝子はあくまでも可能性でしかありませんので自分を信じていきましょう。

それでは。